はじめて外貨預金
消費税は上がるし、インフレはじわじわ進むだろうし……。資産運用が大事なのはわかる。でも、いったい何から始めればよいのか……。
そんな中、とりあえず銀行窓口に相談しに行く人は少なくないように思います。何を隠そう、ぼく自身がそうでした。
何と言いますか、インターネットで情報収集も良いのですが、膨大な情報を前にして心が折れかけます。この分野の知識が乏しいだけに、どんな情報が参照に値するか吟味できないからです。運用を考える時間がなかなか取れない中で、やはり窓口での対応は安心感がありますよね。
銀行窓口へ相談に行くと、まずおススメされるのが保険、投資信託、外貨預金の3つです。そして、この3つを並べられると、初心者的にはなんとなく外貨預金がリスクも小さく、コツコツ運用するのにむいているのかなぁ、なんて思ってしまうのです。「投資」ではなく「預金」というところに謎安心感を覚えるのかもしれませんが、まさしくその通りで外貨預金は投資ではなく、あくまで預金です。
外貨で預金することのメリットの一つが、円預金とは比べ物にならない金利の大きさです。日本は景気を維持しながらも市場にお金が出回るよう、2016年2月よりマイナス金利政策を導入しており、実質的に金利はゼロです。例えば、三井住友銀行の円普通預金の金利が0.001%、定期預金ですら0.01%です(三井住友に限らず多くの都市銀行、地方銀行の金利はこの程度です)。したがって、いくら銀行に円でお金を預けていても、利息によって資産を増やすことは不可能なのです。ところが米ドルですと、三井住友銀行の外貨普通預金の金利は0.2%に設定されています。なんと200倍も高金利なのです!
この破格の金利に目がくらみ、そして預金という謎安心感から、外貨預金をやってみようと思った人は少なくないはず(じつは僕もその一人でした)。
【外貨預金は基本的にはおすすめできない】
端的にいうと外貨預金はお勧めできません。おすすめできない大きな理由は、為替変動リスクと為替手数料の2つです。
為替変動は分かりやすいかと思います。例えば、円をドルに換える際、1ドル100円のレートで預け入れたとしましょう。そこでコツコツ運用して、数年後に円に戻そうと思った時、その時の為替レートが1ドル80円だったら、1ドル当たり20円の損失を被ることになります。この為替変動による損益は、金利によって得られる利息よりもはるかに大きな影響力を持っています(実際にシミュレーターで計算してみると良く分かります)。
もちろん、1ドルが100円から120円となっている逆のパターンもあるので、その時は大きな利益を得られるかもしれません。しかし、為替変動は厳密な予測が困難です。これはある種のギャンブルにも近い。
そして外貨預金の為替手数料は銀行によっては、かなり高額に設定されています。例えば、三井住友銀行の米ドル外貨預金では、1ドル当たり1円の為替手数料がかかります。1円というとなんだか安い気がしてしまいますが、1万ドル預金するのに1万円も手数料がかかる計算になります。さらに、ドルから円に戻す際にも同額の手数料がかかりますから、往復で2万円の手数料です。せっかく高い金利で増やした預金も、あっという間に手数料の餌食になってしまう可能性が……。
外貨預金は極めて銀行側に有利な金融商品であることは間違いありません。ちなみに米国の政策金利は2.5%ですが、米ドル外貨預金金利が0.2%ということは、その差2.3%は銀行の収益になっているわけですね。外貨預金口座は円預金口座と異なり、引出、預入、振り込みなど手数料のかかる操作がほとんど行われません。銀行側はこの金利差、為替手数料で収益を得ているわけです。外貨預金口座にお金を預けるだけで、本来得られる利息のほとんどを銀行側に吸い取られていることになるわけですね。
【外貨預金やるならFX?】
”外貨預金をやるならFX”とは、外貨運用に関するウェブサイトならどこにでも書かれています。今時、外貨預金をすすめているウェブサイトは、銀行の公式サイトぐらいなものでしょう(この分野でも利益相反による情報の歪曲はすごいなぁと感じてしまいます)。
FXとはForeign eXchangeの頭文字をとったもので、外国為替証拠金取引のことです。外貨預金は手持ちの範囲でしか取引できませんが、FXの最大の魅力は、証拠金として預けた資金の何倍もの取引が可能なことです。この少ない資金で大きな額の取引ができることを、「てこ」の意味から「レバレッジ」と呼んでいます。外貨預金に比べて圧倒的に低価格な為替手数料に加え、このレバレッジを活用することで、短期間で大きな収益を上げることも可能です。
とはいえ、FX取引に必要なお金は最低でも1000通貨(FX会社によって異なります)となっており、実際には10万円近いお金を動かすことになります。もちろん25倍のレバレッジを利用すれば4千円程度の少額から取引も可能ですが、レバレッジによって損失も倍増するので注意が必要です。やはりハイリターンだけにハイリスクという印象を拭うことは初心者には難しいのかなぁという感じです。
とはいえ、口座開設は基本的に無料なので、とりあえず口座だけはもっておくというのは一つの手かもしれませんね。数ある口座の中でも、おすすめFX会社はDMMXFです。スプレッド(売値と買値の差)は0.3銭と業界最低水準を誇ります。
《DMMXF口座開設》
FXには、それなりのリスクが伴います。資産運用に興味を持ち始めたばかりの初心者が、いきなりFXに手を出すというのはハードルが高いような気もしています。外貨の特性を理解するためにも、まずは外貨預金から……というのも分からぬでもありません。もし、外貨預金をやるのであれば、以下の点に注意することで収益を着実に上げられるかもしれません。
《外貨預金の注意点》
①口座はネット銀行で作る(都市銀行や地方銀行の窓口で口座開設しない)
②外貨預金は預金保険制度対象外。万が一銀行が破たんした場合、預金は帰ってこない(その点FXは信託保全で資産が保護されている)
③円高の時に外貨を購入し、円安の時に円に戻す
円高の時に外貨を購入して、円安の時に円を戻す、まずこれは前提ですけど、外貨預金をするのであれば、必ずネット銀行で口座を開設すべきです。都市銀行や地方銀行に比べて、為替手数料が圧倒的に安く、金利も高く設定されているからです。米ドルで為替手数料と普通預金の金利を比較してみましょう(2019年5月現在)。
為替手数料は圧倒的にネット銀行の方が安く、かつ金利も高く設定されているのが分かるかと思います。その中でもGMOあおぞらネット銀行は突出しています。
外貨預金で運用を考えるのであれば、まずは同行で口座を開設してみるのも良いでしょう。
《GMOあおぞらネット銀行口座開設》